実は今、わが家には失効しそうな株主優待があります。100株持っていた共立メンテナンスの優待券、有効期限は2026年12月31日まであるのに、株自体はすでに手放してしまいました。
株主優待には、こういう”気づいたら使いそびれていた”が起こりやすいところがあります。
※2026年9月20日時点:9月末銘柄の権利付き最終日は9月28日です。最新の権利確定日は、この記事の後半で確認方法を紹介しています。
株主優待が気になっているけれど、なんとなく難しそう・怖そうで後回しにしてきた…という共働き・子育て家庭の方は、意外と多いのではないでしょうか。
この記事では、株主優待の仕組みから必要な株数、リスク、始め方までを一度でまとめて整理します。比較や売買を繰り返す投資ではなく、年に1〜2回のペースで様子を見るくらいの仕組み化という切り口で考えていきます。
読み終える頃には、いつ・何株買えばいいか、リスクの正体、始め方までがひととおり分かり、迷わず一歩を踏み出せる状態になっているはずです。
私自身も、「使う場面が思い浮かぶかどうか」を基準に銘柄を選びながら、今は9銘柄ほど株主優待を保有しています。日本駐車場開発の優待では、実際に那須高原の貸別荘に宿泊しました。詳しい話は、このあと少しだけ紹介します。
一度選んで買えば、あとは頻繁な売買や毎日の値動きチェックをする必要はありません。ただ、年に1〜2回は保有銘柄の状況を確認するくらいの距離感がちょうどよさそうです。冒頭の共立メンテナンスのように、ライフイベントのタイミング次第で使い切れないこともあります。どんな人におすすめで、どんな人には向かないかは、最後にあらためて整理します。
そもそも株主優待とは?配当金との違い
株主優待とは、企業が株主へのお礼として渡す、現物の商品やサービスのことです。
配当金が現金で株主に利益を還元する制度なのに対し、優待は自社製品や割引券、金券、食品といった「モノ・サービス」で渡されます。両方をもらえる銘柄も少なくありません。
つまり、配当が現金のお小遣いだとすると、優待は自宅に届く現物のプレゼントのようなものです。
企業が優待を出す理由は、大きく2つあります。ひとつは自社製品やサービスに触れてもらい、ファンになってもらうこと。もうひとつは、優待目当てで長く株を持ち続けてもらうことで、いわゆる安定株主を確保することです。
株主優待は法律で企業に義務づけられた制度ではなく、企業の判断で内容が変更されたり、廃止されたりする可能性があります。この点は、後ほどリスクの話であらためて触れます。

もらうための条件:必要な株数と「権利確定日」の仕組み
株主優待をもらうには、まず決められた株数を保有している必要があります。多くの企業では、単元株(通常100株)以上の保有が条件です。国内株式市場の単元株数は100株に統一されているため、1株や10株だけを保有していても、優待の対象外になるケースが一般的です。
次につまずきやすいのが、「いつまでに買えばいいか」という日付の考え方です。
優待や配当をもらうには、「権利確定日」の2営業日前にあたる「権利付き最終日」の取引終了時点で、対象株式を保有している必要があります。大事なのは”買った日”ではなく、”権利付き最終日にちゃんと持っているか”ということなんです。
権利付き最終日の翌営業日が「権利落ち日」です。この日以降に株を買っても、その回の優待や配当の権利は得られません。逆に、権利付き最終日までに買っていれば、権利落ち日に売ってしまっても権利は失われません。
ここで注意したいのが、権利確定日の直前に土日や祝日が挟まると、「2営業日前」の実際の日付がずれることです。カレンダーで都度確認するのが確実です。

株主優待を始めるにはいくら必要?
株主優待を始めるときに気になるのが、実際いくら用意すればいいのか、という点です。
必要な資金は、シンプルに「株価×必要株数」で計算できます。株価500円の銘柄なら100株で約5万円、株価2,000円の銘柄なら100株で約20万円、というイメージです。
東証の売買単位は100株です。ただし優待をもらうために必要な株数は企業ごとに違うので、事前に確認が必要です。100株で優待がもらえる銘柄もあれば、500株や1,000株の保有が条件になっている銘柄もあります。
つまり、同じ「優待株を買う」でも、選ぶ銘柄によって必要な資金は数万円から数十万円まで幅があるということです。まずは気になる銘柄の株価と、必要株数を確認するところから始めるとよさそうです。
【2026年9月版】今から動くなら、この日までに買えば間に合う
9月末が権利確定日の銘柄で、必要株数や継続保有などの条件を満たしていれば、2026年9月28日(月)までに買付・保有することで今回の優待の権利を得られます。
日本企業は3月決算が圧倒的に多く、次いで9月決算(中間決算を含む)が多い傾向にあります。そのため9月は、3月に次いで配当・株主優待の権利確定銘柄が多い月とされています。
2026年9月の日程は、権利付き最終日が9月28日(月)、権利落ち日が9月29日(火)、権利確定日(9月末決算・中間決算企業の基準日)が9月30日(水)です(2026年9月17日時点の情報)。
「9月に間に合わなかったらどうしよう」と思うかもしれませんが、心配はいりません。株主優待の権利確定月は企業によって異なり、10月以降にも対象銘柄があります。特に銘柄数が多い3月は、あらためて選択肢が増えるタイミングです。
とはいえ、権利日に間に合わせることだけを考えて動くのは、少し危険です。株主優待には、知っておきたい注意点もいくつかあります。
知っておきたい注意点:株価変動・改悪や廃止のリスクと税金の基礎
株主優待には、主に3つの注意点があります。株価変動のリスク、改悪・廃止のリスク、そして換金性の低さです。
優待をもらっても、株価が下落して含み損になれば、優待の価値以上に損をする可能性があります。優待の魅力だけで投資判断をすると、企業の業績や財務状況を見落としがちになる、という指摘もあります。
先ほど触れたとおり、株主優待は法律で企業に義務づけられた制度ではありません。ある日突然、内容が縮小されたり廃止されたりする可能性がある、という前提を持っておいたほうが安心です。
東京商工リサーチの調査(2026年2月25日公開)によると、2025年に株主優待の導入(再導入含む)を発表した上場企業は175社、廃止を発表した企業は68社でした。ただし廃止企業のうち55.8%(38社)はTOBやMBOによる上場廃止に伴う廃止で、上場を続ける企業に限ると廃止は30社にとどまっています。
数字だけを見ると、2025年は廃止68社に対して導入175社と、むしろ導入のほうが大きく上回っています。ただし、優待は企業の判断で内容が変わったり、廃止されたりする可能性がある制度であることに変わりはありません。
換金性の低さも見逃せないポイントです。優待品は現金ではなく、自社製品や割引券、金券などの形で受け取るため、使わなければ実質的に価値を活かせません。
税金についても触れておきます。配当金は「配当所得」にあたり、上場株式の配当では原則として20.315%が源泉徴収されます。一方、株主優待で受け取った商品やサービスの経済的価値は、国税庁では雑所得に該当すると案内されています。
年末調整済みの給与所得者など一定の条件を満たす場合、給与所得・退職所得以外の所得金額が年間20万円以下なら、所得税の確定申告が不要となる場合があります。ただし住民税には同様の免除規定がないため、20万円以下でも住民税の申告が別途必要になるケースがあります。優待品の評価額の算定方法や申告の要否は状況によって変わる部分もあるので、詳しい判断は税理士や税務署に確認するのが安心です。

こうしたリスクを踏まえると、優待だけを目的に大きな金額を投じるのは避けたほうがよさそうです。あくまで、無理のない金額で気軽に持てる範囲にとどめるのがよさそうです。
では、こうしたリスクを踏まえたうえで、株主優待は共働き・子育て家庭に向いているのでしょうか。
共働き・子育て家庭に株主優待は向いている?向いていない?
「平日は仕事と送迎でいっぱいいっぱいなのに、株なんて管理できるのかな…」と思う方もいるかもしれません。
正直なところ、一度選んで買えば保有するだけでいい、という仕組み化とは相性が良い制度だと感じています。ただし、完全に放置しっぱなしにはできません。
企業の中には、食事券や子ども向け施設の割引券など、生活に直結する優待を出しているところもあります。こうした優待は、日々の暮らしの中で「頑張らず得する」体験につながりやすいところが魅力です。
一方で、フルタイム共働きだと、仕事や送迎に追われて権利確定日や優待券の有効期限を忘れやすいという問題もあります。権利付き最終日を逃せば、その回の優待はもらえません。「気づいたら権利日を過ぎていた」という機会損失は、意外と起こりやすいところです。
地方在住・車移動が前提の家庭では、優待の使いやすさも変わってきます。都市部の飲食店や施設の割引券は、地方では使う機会が少ないかもしれません。一方、金券や生活必需品系の優待であれば、住んでいる場所を問わず活用しやすい印象です。
タカラトミーやサンリオのように、子ども向けの優待を出している企業もあります。わが家でも、こうした場面で使える銘柄を選んで保有していて、具体的な使い方は今後1つずつ記事で紹介していく予定です。
年に1〜2回、保有銘柄の状況をゆるく確認する。そのくらいの距離感が、共働き・子育て家庭には続けやすいのではないかと思います。
気になるのは、実際にどう始めればいいかですよね。
始め方:証券口座を開いてから優待が届くまでの4ステップ
株主優待を始めるための手順は、特別なものではありません。大きく分けて4つのステップで進みます。
①証券口座を開設する →②優待の内容や必要株数を確認して銘柄を選ぶ →③権利付き最終日までに必要株数を購入する →④権利確定日に株主名簿へ記載されれば、数か月後をめどに優待品や案内が届く、という流れです。
証券口座は、SBI証券や楽天証券、松井証券といった大手ネット証券・総合証券が候補になります。特定の1社を強く推す必要はなく、手数料や優待銘柄の探しやすさなどを比較して、使いやすいと感じるところを選べば十分です。
NISA(新NISA)を使う場合、株主優待株を購入できるのは「成長投資枠」のみで、「つみたて投資枠」では個別株を買えない点に注意が必要です。
つまり、一番大変なのは最初の証券口座の開設だけで、あとは銘柄を選んで買って、待つだけということです。ネット証券なら口座開設もスマホで完結するので、思っているよりハードルは低い印象です。

株主優待を始めるには、まず国内株を購入できる証券口座が必要です。私は特定の証券会社だけをすすめるつもりはありませんが、これから口座を作る方は、取引手数料や優待銘柄の探しやすさなどを比較して選ぶとよいと思います。
まだ証券口座をお持ちでない方は、松井証券なら日本株の取引手数料が0円からなので、こうした優待株デビューにも向いています。
制度の説明が続きましたが、ここからはわが家の実例です。実際に持っている優待について、少しだけ紹介します。
優待選びは「使い道」を最優先。ただし投資判断は別――わが家が持っている9銘柄の実例
銘柄を選ぶとき、いちばん大事にしているのは「使う場面がすぐ思い浮かぶかどうか」です。ただし、実際に株を買うときは、優待だけでなく業績や財務、配当、必要投資額なども確認しています。
利回りの高さや優待カタログの豪華さでは選びません。使い道が思い浮かばない優待は、結局どこかで使いそびれてしまうからです。
株主優待を始めるきっかけになったのは、CoCo壱番屋(壱番屋、証券コード7630)の株でした。2025年に保有していて、今はすでに売却済みです。壱番屋の優待は、保有株数に応じて年2回、カレーの飲食優待券がもらえる仕組みです。
今は、この「使い道」基準で選んだ9銘柄を保有しています。日本駐車場開発、イオン、オリエンタルランド、ベルク、コロワイド、パルグループ、タカラトミー、サンリオ、ヒューリックの9社です(HUBも同じ基準で保有していましたが、優待を受け取ったあとに売却済みです)。

外食、買い物、レジャー、子どもとの時間など、わが家の生活のどこかで使う場面が思い浮かぶ会社を選んでいます。銘柄ごとの優待内容や具体的な使い方は、確認でき次第、1つずつ記事にしていく予定です。
中でもイオンの優待は、イオンカードでのポイ活と組み合わせるとさらに使い勝手が上がる銘柄です。イオンカードについては別記事にまとめています。

今回は、そのうち実際に使ってみた日本駐車場開発の優待について、もう少し詳しく紹介します。
2025年11月28日(金)から29日(土)にかけて、日本駐車場開発の優待を使って、実際に那須高原のTOWAピュアコテージという貸別荘に宿泊しました。
無料宿泊招待券は対象除外日にあたり使えなかったため、代わりに50%割引券を利用し、素泊まり19,800円を支払って宿泊しました。無料ではありませんでしたが、優待を使って実際に泊まってみた体験として、記憶に残っています。
なお、この優待の制度はその後改定されています。当日利用した割引券の詳しい条件や、当時の様子については、別の記事にまとめています。


使い道基準で選んで、うまくいっている話ばかりを書いてきました。ただ正直に言うと、この基準で選んでいても、結局使い切れないことがあります。
正直に書くと、失効しそうな優待もあります――共立メンテナンスの話
冒頭で少し触れた、共立メンテナンスの優待の話です。
100株を保有していたのですが、株自体はすでに売却しました。ただ優待券は、保有していた当時の権利としてそのまま手元に残っていて、有効期限は2026年12月31日まであります。
株を手放しても優待券だけが残る、というのは少しややこしい話に聞こえるかもしれません。優待券は、その時点で株主だった人に発行された権利なので、株を売った後も、券自体は有効期限まで使えるという仕組みです。
ただ、わが家は2026年10月に妻の出産を控えています。
出産や育児のことを考えると、年末までに使い切れず、このまま失効してしまいそうな見込みです。
正直、もったいないとは思っています。ただ、無理に予定を詰め込んで使い切ろうとするより、使えなかったらそれはそれとして受け止めようと思っています。
株主優待は、永久に続くものでもないですし、ライフイベントのタイミング次第では、こんなふうに使い切れないこともあります。「使い道」基準で選んでいても、こういうことは起こるんですよね。

制度の仕組みから、わが家の9銘柄、そして正直な失敗談まで書いてきました。最後に、株主優待がどんな人に向いていて、どんな人には向かないのかを整理します。
まとめ:こんな人におすすめ、こんな人には不向き
株主優待は、無理のない範囲でゆるく持つのがちょうどいい制度だと感じています。
銘柄選びの基準は、使う場面が思い浮かぶかどうか、それだけで十分だと思っています。わが家も、この基準で選んだ9銘柄を保有しています。
おすすめできるのは、比較や売買を繰り返さず、一度選んだらあとは仕組み化して任せたい人。少額から試してみたい共働き家庭。生活に使える優待を楽しみたい人です。
一方で、値上がり益や短期売買を目的にしたい人、優待を”使う”時間がまったく取れない家庭、大きな金額を優待だけを理由に投じたい人には、あまり向いていないかもしれません。共立メンテナンスの優待のように、ライフイベントのタイミング次第で使い切れないこともある、というのも正直な実感です。
配当金との違いから、必要な株数、権利確定日の仕組み、リスクや税金の基礎、始め方まで、ひととおり見てきました。頻繁な売買や毎日の株価チェックは不要ですが、年に1〜2回は業績や優待内容、使えているかどうかを確認する。そのくらいの距離感で十分だと思います。まずは「使う場面が思い浮かぶ銘柄が1つあるか」、そこから考えてみてください。
このあと、イオンの株主優待や、子育て世帯向けの優待についても、1銘柄ずつ詳しく紹介していく予定です。

コメント